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28日、午前11時、女子のレースがはじまる。
どんよりと曇っており、いつ雨が落ちて来てもおかしくないが
気温は下がらず、路面が凍ることはなかった。
結婚、出産を経て、復帰後2回目の世界選手権となり、
今シーズン復調を見せている荻島美香(アライレーシング)は、
オランダ在住とあり、こちらのレースの経験も深い。
先のワールドカップでは、
もっとも落ち着いた走りを見せていた。
この日も、2歳と4歳のお子さんを連れて現地入り、
母としての務めを果たしながらの参戦だ。
全日本選手権を連覇した豊岡英子も、渡欧して1週間。
ワールドカップの際には、身体がまったく
思うように動かないと語っていたが、
その後の調整は上々で、身体の間隔も戻ったようだ。
試走の際には、恐怖で坂を下れない様子もあったが、
「もう、死ぬ気で行きます」と
世界選手権の大舞台に臨む気合いもしっかり注入した。
そして、3回連続出場権を獲得した田近郁美(GOD HILL)は
過去2大会よりも、良い状態で本番を迎えていると語った。
初出場の志村みち子(エキップあずみの)はプレッシャーも
緊張もない様子。自分のペースでレースに臨むようだ。
このコースは、女子には、少々難度が高く、試走の際には、
切り立った下りの前で立ちすくんだり、上りで失速し、
後ろから男子選手に突っ込まれる女子選手を多く目にしたが、
日が経ち、路面は乾き、チップがまかれるなど、
状態は改善され、本番のこの日は、
スピードも上がることも予想された。
とはいえ、タフなこのレース。
最有力候補は、パワーもテクニックも兼ね備え、
一週間前のワールドカップも制し、UCIランキングも首位と
まさに絶好調のベテラン、ハンカ・クッファナゲル(ドイツ)。
ここに、今年はオランダチャンピオンも奪取し、
激戦となった一週間前のワールドカップはリタイアし、
今日に備えたディフェニー・ファン・デン・ブランド(オランダ)がどう絡んでくるか。
この二人の元チャンピオンに加え、ディフェンディング
チャンピオンのフォス・マリアンヌ(オランダ)も挙げられるが、
今シーズンは、いまいち、勢いに欠けており、弱冠19歳の
彼女が、このコースで勝てると予想するものは少なかった。
45人がスタートしたが、直後に大きな落車が発生、
日本選手が巻き込まれることはなかったが、
十分に気をつけなくてはいけない。
会場を埋める観衆の割れんばかりの歓声を浴び、
トップでやって来たのは、予想通りハンカだ。
今日はひときわ大きく見える。
後に続くのはディフェニー。
そしてマリアンヌが後を追う。
日本人勢では、豊岡が30秒遅れでやって来た。
今日は余裕のある表情を浮かべ、気合いがみなぎっている。
そして一番欧州でのレース経験が豊富な荻島。
「スタートでは、多少無理をしてでも
集団に入っておかなければ、もうレースにならない」と
スタート前に語っていた荻島だが、皮肉なことに
ギアに異常があり、集団を見送ることになってしまった。
そして、志村、田近が上がって来た。
3周目、先頭は6人にしぼられた。
その中でもハンカが圧倒的な強さを見せつけて展開。
追うコンプトン・ケイティー(アメリカ)、
サルベタ・マリリン、ルブシェール・ローランス(フランス)、
マリアンヌ、ディフェニーとの差を広げて行く。
豊岡は順調にレースを進める。
一週間前のワールドカップのときとは、全く違う。
表情もフレッシュなままだ。
差は2分少々。
1分間隔で荻島、志村、田近がやってくる。
ハンカは独走で差を広げていき、このまま優勝かと思われたが、
身を乗り出した観客に接触、転倒し、タイムロスを強いられ、
動揺したのか、もう一度落車、一気に順位を落とし、
見たこともないほど狼狽した表情を浮かべ、いつも難なく
クリアする砂場区間でも、途中で止まってしまった。
さらに不運なことに、ペダルのトラブルにも見舞われたハンカ。
この隙に、先を急ぐマリリン、ケィティー、ローランス。
さらにディフェニーも落車で遅れ、
マリアンヌも精彩を欠いたまま、伸びて来ない。
豊岡は落ち着いて、最良の道を選びながら、
順位を落とさず、レースを進める。
最終周回、ラストスパートをかけるマリリン。
ケイティーも懸命に追ったが、過去2回の優勝経験のある
チームメイト、ローランスのアシストを打ち破り、
勝利をもぎ取るだけの力は、ケイティーには残っていなかった。
表彰台をあきらめたディフェニー、ハンカはそのままのペースで
30秒遅れの4位、40秒遅れの5位でフィニッシュ。
豊岡も落車等のトラブルもあったが、
渾身のラストスパートをかけ、5分遅れの25位でゴール。
2回目の挑戦ながら、昨年からは一気に順位を上げ、
これだけタフなコースで、この成績は大健闘と言えるだろう。
終始メカトラに泣いた荻島は40位。
志村、田近も41,42位で完走した。
フランスと、アメリカの国旗が掲げられた表彰式。
誰も予想しなかった新女王のマリリンは、大粒の涙を流しては、
屈託のない、はじけるような笑顔を浮かべ
ローランスと互いの健闘を称え合った。
表彰台に上がった3名ともが、自らの結果に感激をし
笑顔があふれる表彰式だった。
ハンカが、誰よりも強かったことは、
会場にいた皆が認めるところであったろう。
だが、何が起こるかわからないのが、レースである。
そう、昨年、18歳のマリアンヌの優勝も、
予想外の出来事だった。
これから先もまた、何が起きるか、わからない。
<結果>
女子エリート
優勝 SALVETAT Maryline(フランス) 42:57,8
2位 COMPTON Katie(アメリカ) +0:01,2
3位 LEBOUCHER Laurence(フランス) +0:09,0
25位 豊岡英子(masahikomifune.com) +5:00,2
40位 荻島美香(アライレーシング) +7:43,9
41位 志村みち子(エキップあづみの) +9:00.0
42位 田近郁美(GOD HILL) +10:06,7
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