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狙い通りの展開、だったのか。
レースの冒頭に設けられた4周の小周回で写真を撮るために、
スタートを見送ってから、私はコースを逆周していた。
大集団を見送り待つこと20分、
2周目には3人の選手が後続を引き離し、
かなりのスピードでやってくるのが見えた。
先頭にいたのは、見慣れたジャージ、福島晋一だ
元Team NIPPOの昨年のTOJ・東京ステージの覇者グエリーニが後ろに続く。
速度は48km/h…
後続の集団の先頭は、レースをコントロールするために
今日のリーダー、グラーシのメンバーがほぼ全員集まっている。
このグラーシだが、プロチームではなく、アマチュアチームである。
この平坦の小周回を越えると、今日は上りが待っている。
GPMが設けられた、3つの上り。
最後の上りはとりわけきびしい。
この上りに差しかかるまでに、
どういったポジションを確保するかが今日の課題だった。
福島晋一は、冒頭から逃げ、タイム差を稼いだ状態で上りに入り、
後ろから今日の本命選手が追いついてきた段階で、合流し、
勝負に持ち込もうという考えだっのだろう。
今日のもうひとりのエース、別府匠は、また別の考えの下に
集団の中でペダルを踏んでいた。
彼は、ここという瞬間が来るまで、「本命」をマークし、
「本命」が動き出したときに、同調して動き、
最後の勝負まで持ち込もうという考えだった。
しかし、レースの冒頭に、ホイールのトラブルに見舞われる。
すぐに、リーダー格の飯島が自分のホイールを差し出し、交換。
飯島のホイールでレースを進めることになった。
今日のゴールをねらう2名以外のメンバーは、
2人が思惑をまっとうできるよう、あらゆるサポートをする。
飯島のバイクもその後、続行が危険な状態になったが
ホイールを無事に交換し、レースに復帰していった。
こうやってアシストをするメンバーは
自分のタイムや着順を狙うことはできなくなる。
しかし、それはまったく問題にするものではないのだ。
15kmの4周回を終え、15kmほど行くと、上り始める。
スタートして約2時間。
上りが始まるとすぐに、今日の仕事を終えたのか、
2人の連れが集団に復帰し、福島晋一は一人になった。
今回の最本命チーム、パナリアがプロの意地を賭け、動き出した。
コロンビア人のゴンザレスが追いつこうと飛び出し、
アモーレからカイレリウスが抜け出す。
このまま最初のGPMを福島晋一がトップ通過した。
上りに入ると、集団は一気にバラけ、編成が変化してきた。
福島晋一が吸収され、出来上がった集団には
着々と進んできた、別府匠が入っていた。
先頭を行く8名は、ゴンザレスとアモーレ。
順当な面々だ。
日本人2名を含む後続の34名には、パナリアから4名に加え
今日のリーダーとそのチームメイトが3名入っている。
長くて、厳しい最後の上り。
マウンテンバイクの大会かと思うほどの山道だ。
あっという間に、集団がばらばらになり、
苦しそうに選手たちがダンシング(立ちこぎ)をしながら、
てっぺんを目指している。
チームカーは福島晋一に追いついた。
前半、あれだけのスピードで逃げた後、
この上りは本当にきついに違いない。
「あと何キロですか?」
晋一が監督に尋ねる。
「2キロだからがんばれ。」
本当は気休めがほしくて聞いただけらしいが…
ちょっと上を見あげると、別府匠の姿がちらちら見える。
順調に上っているようだ。
無線はゴンザレスが集団を引き離したことを告げた。
リーダーを含む3人が追っているらしい。
残り1km、ゴンザレスを吸収。
4人の勝負に競り勝ったのは、RICCO’ Riccardo。
チーム力、そして彼自身の力で、リーダージャージを守った。
この4人に続く集団で別府匠がゴール。
イタリア人の勝利に沸く観衆の中、
彼のために働き、疲れきってゴールしたメンバーが
両手を挙げてエースの勝利を喜んでいるのが見えた。
このリカルドリコだが、弱冠83年生まれの22歳、
イタリアチャンピオンといっても、U23のチャンピオンである。
リーダーだけでなく、ポイント賞、山岳賞、U23賞
完全制覇で迎える最終ステージ。
どのような展開になるのか、楽しみである。
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