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Settimana Ciclistica Lombarda
The Final Stage


4/10 148.3km



優勝 GONZALEZ MARTINEZ Freddy Excel (CERAMICHE PANARIANAVIGARE) 3.21’04
22位 別府匠 3.24’12
34位 福島晋一
完走 福島康司 飯島誠 新保光起
   西谷泰治 石田哲也


個人総合
RICCO’ Riccardo GRASSI-MARCO PANTANI 9.44’16

18位 別府匠 9.50’18
29位 福島晋一

序盤に設定された小周回では、今日の上りゴールのレースを狙える
福島晋一と別府匠を送り出すために、日本チームは積極的な動きを見せた。
110km地点から始まるふたつの上りを制したのは
今日もすばらしい上りの強さを見せたゴンザレスだった。


西谷が吸収されたとの無線を聞きながら車を降りた。
今日は開始早々飛び出し、先頭を走っていたのだ。

昨夜のミーティングで、6人に下った指令は、
「小周回の終わりの100km地点。
ここがゴールだと思って全力で行け。
その先のことは考えず、ともかく逃げに乗れ
切れるなら、チームのために何かしてから千切れるように。
タイミングを良く見て、ペースが落ちたところを狙って
必ず2人か3人で行け」
というものだった。

これは、今日の上りを狙う別府匠と福島晋一の2人を援護するためだ。
これを受けて、二人は集団の中で脚を休ませ、
上りで展開される勝負に備える。

今日の小周回では、日本チームのジャージを
しっかり見られるに違いない。
VTRを構える私の前に、飯島誠、福島康司、西谷泰治が
集団から飛び出し、やって来た。

開始早々、すごいスピードだった。
チームカーのスピードメーターは60km近くを指していた。
おそらく集団自体も50km程度は出ていたろう。

勝敗に全く関わりのないチームがこの日なぜか猛烈な勢いで引く集団と
逃げを決めようとする日本選手とのすさまじい攻防戦が展開された。
無線も、日本チーム以外、どこも対抗しようとするチームがいません
というコメントが流れるほどだったと言う。

小周回を抜け、4名の逃げも吸収され、
1日目のタイムトライアルで使用した上りに差し掛かる。
上りを有利な位置で上れるようにと、
激しい位置取り争いが展開された。

ここで、福島晋一と別府匠を有利な位置に押し上げようと
他のメンバーたちは、残った力を振り絞り、献身的に働く。

チームカーが前方に上がると、ぱらぱらと、
仕事を終えた選手が、ただひたすら上りをこなしていた。
ひとりひとりに、欲しいものはないかと声をかけ、
ボトルや食べ物を渡し、脇を上って行く。
消耗されきって表情もない選手たち。
エースは、この働きを受けて走るのだ。
しばらく車を走らせると、福島晋一に出会った。
前をめざしてペダルに力を込めて行く。
「がんばれよ!」
濃い糖分のドリンクを手渡し、チームカーはさらに先を目指す。

下りに差し掛かった。
ここで回復して、追いついてくれることを祈ろう。

なおも車を加速し、ようやっと、別府匠の集団に追いついた。
「別府!後ろにいるからな、欲しいものがあれば手を挙げろ」
無線の呼びかけに応じ、別府匠が突っ伏すように前傾になり、
コミッセールに向けて右後ろに手を上げる。

下り切った直後で、まだかなりのスピードが残っている。
別府は前を見て懸命にペダルを回したまま、
手を伸ばしてボトルを受け取ると、
渾身の力で、またペダルを踏み込み、
集団へと復帰して行った。

「いいか、引こうとするなよ。
後ろの方にいろよ。」
体力を少しでも温存するよう声をかけ、
集団の後ろに車をつけた。

この集団の前には、20名ほどの集団がいる。
追いつけるか….

無線は、先頭からパナリアのゴンザレスが抜け出したことを告げる。

別府匠の集団は、そのまま上りを越えて行く。
残り1km。
「行った……」
別府がこの上りの最後に、さらに力を込めて、
懸命に踏み込みながら、前に抜け出して行くのが見えた。
このまま抜け出せるのか….
後ろに二人の選手が続いたものの、そのまま別府は
振り返ることなく踏み込み続ける。
 
監督の無線の声を受けながら、
別府匠はフィニッシュラインを越えた。

チームメイトの働きに支えられ、
そして同時に、それに答えなければならないというプレッシャー。
本当に厳しいレースだったに違いない。
別府は個人総合でも、18位をキープした。

ゴール後「賞金ゲットー」と笑顔でおどけて見せた彼だが
なにものにも代え難いすばらしい経験になったはずだ。
言葉ではなく、彼の全身からにじみ出る達成感が、
なによりもそれを語っていた。