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2006ロード世界選手権
男子エリートレポート [文/写真 土肥志穂]

開催場所:オーストリア・ザルツブルグ
大会期間:2006年9月20日〜9月24日

スタートリスト

 



●9月24日 10:30〜
男子エリート ロードレース

Team VANG
スキル・シマノ
ディスカバリーチャンネル

別府史之 124位
福島晋一DNF
野寺秀徳DNF

 オーストリアに入って約1週間。とうとう決戦のときが訪れた。

 ロードレースエリート男子に出場する3人(福島、野寺、別府)は、7時半に朝食を取り、9時にホテルを自走で出発。10時半のスタートに備えた。見た目には緊張している様子もなく、笑顔も見せながら準備を進めるが、やはり今日はエリート男子のレース。隣のチームピットには、今年のツール・ド・フランスでラルプ・デュエズのステージを獲ったフランク・シュレクが、同じくツールでマイヨ・ベールを獲ったトール・ハスホフトがいる。やはり、プロ集団が集まる独特の雰囲気がレース会場を包む。平常心でいれば何でもないこと(たとえば安全ピンでゼッケンを留めるなど)も、手が震えてスムーズにできない。知らず知らずのうちに緊張しているようだ。

ベルギーやスペインが最大の9名で参戦しているのに対し、日本は3名。しかし、先述のハスホフトがいるノルウェーも3名、シュレクのルクセンブルクに至っては1名だ。もちろん9名で出場できればいいが、悲観することなく戦いたい。

レースはスタート直後からベネズエラ選手のアタックで始まる。今年クイックステップに移籍しツールに出場した、ホセ・ルハノのいるチームだ。ちなみにベネズエラも3名で出場している。その逃げは捕まるが、今度はコロンビアの選手がアタック。それにヒートアップされた集団が、高速で1ラップ目を走り抜ける。

2周目に入るスタート・フィニッシュ地点では、別府が8位で通過。名だたる選手たち囲まれ、集団の先頭を走る別府の姿が国際映像に映る。通過順位を示すリストにも、日の丸が表示された。国の誇りを感じる瞬間だ。

レースはその後、3周目に決まった12人の逃げが続き、大集団はその逃げを許す形で展開。一時はタイム差が15分近くまで開いた。その頃には気温がどんどん上がり、丘の上の補給所にいたスタッフは、外に立っていると熱射病になりそうだったと言う。こういう気温の中でのスロースピードは、体力を消耗する。

スピードが徐々に上がり始めたのは8周回目。集団から一発を狙った選手がアタックで仕掛ける。9周回目には、別府と野寺が先頭を引くシーンが国際映像に流れた。

集団がバラバラになり始めたのは9周回目の後半。ちょうどレース距離が200kmに達したころだ。アントニオ・フレチャ(スペイン)やルカ・パオリーニ(イタリア)などが10%の上りでアタックをしかけ、その後も逃げが捕まっては、また誰かが逃げる展開が繰り返される。この攻防に耐え切れない日本代表は、ジワジワと遅れを取るようになる。

11周回目、別府は集団の中に残っているが、福島と野寺が集団から完全に取り残される。その周の補給地点に来た福島は、サコッシュを取って残りの周回に備えようとするが、コミッセールによってレースを下ろされてしましった。タイムオーバーだ。野寺は1人で補給所を通過したが、完走させてもらえるかどうか。残りはたった1周。

しかし無情にも、野寺は12周回目で降ろされる。あと22kmのところでゴールを逃した。希望は別府に託されるが、11周回目で集団から遅れて6人の小グループとなり、とにかくゴールを目指すしかなかった。

レースは、パオロ・ベッティーニ(イタリア)とエリック・ツァベル(ドイツ)の一騎打ちとなり、スプリントを制したベッティーニが念願の06年世界チャンピオンとなった。3位にはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)が入った。

ゴール後、18名の選手とスタッフ全員がチームピットに集まって選手たちをねぎらい、帰り支度をした。別府は「役に立てなくてすみません」と言い、野寺は「すごく調子よかったんですけどね」と言い、福島は帰りの車を用意したにも関わらず自転車にまたがって、「練習します」と言ってレース会場をあとにした。

ホテルに戻ったらみんなで乾杯をし、お互いの健闘を称えた。スタッフに対しては感謝の言葉もあった。その夜は遅くまで語らい、笑った。たった1週間とは言え、同じ目標に向かった仲間だ。次の朝は全員で集合写真を撮り、握手をして別れた。

日本代表選手たちは、この瞬間に出せる力をすべて出し切って戦ったということは間違いない。藤野コーチの言葉を借りれば「みんな実力はある。でも、何かちょっとしたことがうまくかみ合うと、上位の結果が出せるようになるんだろう」。今後の日本ロードレース界に期待したい。

 

●出場選手194名中、124位で走りきった別府史之のコメント

今年、プロレースをいくつか走っているが、今の自分では乗り越えられない壁があると実感した。ラスト2周の坂で遅れたのだが、「今日の自分の力」が足りなかったんだと思う。あと一歩、ひと踏みが自分には足りないんだ。それがわかっただけでも、この世界選で大きく成長できたと思う。しかし結果については、もう何も言えない。いつも走っている同じメンバーが、集団に残れて上位に入っているのに、今日の自分にはそれができなかった。自分では、先頭集団でゴールできる力があると思っている。もしかしたら世界選の雰囲気に飲まれてしまったのかもしれない。でも、とにかく悔いが残る世界選となった。



●残り1周で惜しくも完走を逃した野寺秀徳のコメント

今回の世界選のメンバーに選ばれ、日本代表というプレッシャーもあったが、調整に細心の注意を払い、最高の状態で現地入りができていた。だから200kmまではすごく調子が良かった。「これが最後のレースになってもいいつもりで臨もう」と、自分を勇気づけていた。自分の力をすべて出し切って、目標の完走ができなかったのだから、これが今の自分の実力だと受け止めている。この世界選を、今後の選手生活に生かしていきたい。この1週間、代表メンバーと共に生活をして、彼らから影響を受ける面も多かった。いろいろ勉強になった。U23の4人は、自分が23歳以下だったときより強い。下からの追い上げに焦らなければならないが、期待もしている。また来年、世界選に戻ってきたい。そのときは結果を出す。

●タイムオーバーで残り2周を残してリタイアした福島晋一のコメント

コンディション良く現地入りできていると思っていたが、レースが始まってみると実際には良くなかった。まぁ、調子が良かったからといって、最後の集団に残れるかは問題だが。でも、自分はもっと走れると思う。ワンランク上の選手を見て、自分に足りないものは何かを理解し、これまで体を仕上げていった。でも結果が出なかった。「経験のために…」という年齢ではないが(今年35歳)、来年につなげたいと思う。レース後、練習に行ったのは、10月のジャパンカップの調整だ。もう1か月もないので、世界選の悔しさをジャパンカップで挽回したい。